
配食サービスと宅配弁当の違い
提供形態と配達方法
配食サービス: 通常、常温のお弁当を毎日手渡しで届けられます。配達員が直接手渡しすることで、利用者の安否確認ができるという重要な役割も担っています。
宅配弁当: 冷凍のお弁当やミールキットが多く、まとめて宅配便で届けられるのが一般的です。冷凍庫で保存しておき、食べたい時に電子レンジなどで温めて食べます。ミールキットは、自分で調理する形態のものもあります。
主な利用者層と届け先
配食サービス: 主に高齢者向けのサービスとして提供されており、自宅以外に高齢者施設や医療施設への配達も含まれます。市区町村が主体となって運営されている場合は、介護保険が適用されることもあります。
宅配弁当: 幅広い年代の人が利用しており、主に自宅への配達が中心です。
食事内容と目的
配食サービス: 高齢者の健康状態に配慮し、食事制限がある方向けのメニュー(高血圧、腎臓病、飲み込みが不安な方向けの介護食など)が充実しているのが特徴です。栄養バランスだけでなく、咀嚼や嚥下にも配慮した食事が提供されます。
宅配弁当: 栄養バランスの取れた食事が多く、日替わりメニューや様々なジャンルの食事が楽しめます。おかずのみの提供もあり、自分の好みに合わせて主食を組み合わせることも可能です。
その他の特徴
配食サービス: 毎日配達されることが多いため、配達員による利用者の安否確認が見守りサービスとして機能します。
宅配弁当: 冷凍保存できるため、自分のペースで好きな時に食べられる利便性があります。
どちらのサービスも、栄養バランスが考えられた食事を提供し、食事の準備や片付けの手間を省けるという共通のメリットがあります。
配食サービスについて
配食サービスは、原則として介護保険の適用外ですが、自治体によっては費用の一部を補助する制度があります。これらの補助金や助成金を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
配食サービス費の主な補助制度 (2025年9月現在)
自治体による補助金・助成金
多くの市区町村で、配食サービスの費用補助が行われています。対象は主に、買い物や調理が困難な高齢者の方々です。
対象者:要介護認定を受けている方(要支援1・2、要介護1~5)ひとり暮らしの高齢者や、高齢者のみの世帯心身の状態が特定の条件を満たす方、例えば要介護1以上で、日常生活自立度がランクA相当以上の方など所得制限がある場合もあり、前年の本人等の所得が市町村の定める限度額を超えていないことなどが条件になることがあります。
サービス内容:栄養バランスの取れたお弁当が配達されます。嚥下食(えんげしょく)など、特定の食事形態が必要な場合にのみ助成対象となる自治体もあります。嚥下食以外の普通食は対象外となることがあるので注意が必要です。お弁当の配達時に安否確認を兼ねている見守りサービスも提供されます。
補助額の例:渋谷区では、1食あたり150円の補助を行っています。静岡県袋井市では、どのメニューを注文しても1食あたり290円の補助があります。大阪市では、世帯全員の年間総所得が150万円以下などの条件を満たす場合に、1食あたりの利用者負担額のうち400円を超える部分について150円を上限に軽減を受けられることがあります。
利用手続きについて
費用補助を受けるには、まずお住まいの市区町村の窓口(市役所、福祉課、地域包括支援センターなど)に相談し、申請手続きを行う必要があります。
申請方法:電子申請、郵送、窓口での申請が可能な場合があります。申請後、審査が行われ、対象者として決定されると利用券や決定通知書が送付されます。
ケアマネジャーがケアプランを作成する際に、配食サービスの利用を組み込むことも可能です。
注意点
対象業者の指定: 自治体が費用補助を行う配食サービスは、自治体が指定した業者からの食事のみが対象となることがほとんどです。民間の宅配弁当サービスには適用されないことが多いので、注意が必要です。
介護保険適用外: 配食サービスは、基本的に介護保険の適用外です。そのため、介護保険サービスのように費用が1~3割に軽減されることはありません。
費用補助制度は自治体によって内容が異なりますので、詳細はお住まいの地域の窓口に確認すると良いでしょう。

宅配弁当について
高齢者向けの宅配弁当サービスは、買い物や調理が難しい方、噛む力や飲み込む力が弱い方、食事制限が必要な方など、様々なニーズに対応しています。これらのサービスは、管理栄養士がメニューを監修しており、栄養バランスの取れた食事を提供しています。
- Qどのようなサービスがありますか?
- A
多くの宅配弁当サービスでは、利用者の状態に合わせた様々なコースを提供しています。
健康バランス食:一般的な食事で、日替わりの献立で飽きずに続けられる工夫がされています。
制限食:糖質制限、塩分制限、たんぱく質調整、カロリー調整など、特定の栄養素をコントロールする必要がある方向けのメニューがあります。
介護食:噛む力や飲み込む力が弱い方向けに、やわらか食、ムース食、刻み食など、食事形態を調整したお弁当も充実しています。
- Q主なポイントは?
- A
高齢者向けの宅配弁当を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
栄養バランス:安全に適切に栄養が摂れるかどうかが重要です。
おいしさ:美味しく食事が続けられるような味付けかどうかも大切です。
利用しやすさ:注文方法や受け取りのしやすさ、温めるだけの手軽さなども考慮すると良いでしょう。
料金:毎日利用することを考えると、続けやすい価格帯であることもポイントです。
見守りサービスについて
一人暮らしの高齢者の方でも安心して利用できるよう、宅配弁当サービスの中には「見守りサービス」を提供しているところもあります。これは、配達担当者がお弁当を届けた際に利用者の安否を確認し、異変があれば事前に登録された連絡先に通報する仕組みです。コープ・生協の宅配弁当や、宅配クック123などがこの種のサービスを提供しています。
宅配弁当の価格帯について
宅配弁当の価格帯は、サービス内容や購入方法によって大きく異なりますが、1食あたり300円台から1,000円以上まで幅広い選択肢があります。最新の情報によると、多くのサービスが頻繁にキャンペーンや割引を実施しているので、それらを活用するとさらにお得に利用できますよ。
価格帯の目安 (2025年9月時点)
リーズナブルな価格帯(1食あたり300円〜600円台)
この価格帯では、初回限定の割引や定期購入、まとめ買いを利用すると、1食あたりの単価が非常に安くなります。
まごころケア食: 定期便の初回利用では、コースによっては1食あたり190円という破格で利用できる場合があります。ただし、ボリュームがやや控えめなこともあります。
ワタミの宅食: 日替わり惣菜は1食あたり590円から提供されており、手軽に利用できます。
コープ夕食宅配: 東京・7県で利用できる「舞菜弁当」は、最安で615円からと、送料無料で自宅まで届けてくれるのが魅力です。
中価格帯(1食あたり700円〜900円台)
多くの宅配弁当サービスがこの価格帯に集中しており、栄養バランスの取れた食事が期待できます。特定の疾患に対応した制限食や介護食も充実しています。
食宅便: 定期購入の7食セットで送料込み5,770円の場合、1食あたり約824円です。定期購入は都度購入よりも割引があり、送料もお得になります。
ウェルネスダイニング: 塩分、糖質、たんぱく質などを細かく調整した制限食が特徴で、管理栄養士が開発したメニューを提供しています。
高価格帯(1食あたり1,000円以上)
この価格帯のサービスは、食材の品質や調理法にこだわっているのが特徴です。
DELIPICKS: ミシュラン経験シェフが監修したメニューが楽しめ、1食あたり約760円〜ですが、ご飯は別売りで追加料金がかかります。高品質な料理を楽しみたい方向けです。
価格を抑える賢い利用術
宅配弁当の費用を抑えるには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
送料を含めた「実質1食単価」で比較: お弁当の価格だけでなく、送料や割引を含めた総額で比較することが大切です。送料無料のサービスや、まとめ買いで送料が割引になるケースもあります。
定期購入やまとめ買いを活用: 多くのサービスで、定期購入や複数食のまとめ買いを利用すると1食あたりの単価が安くなります。
初回限定割引やキャンペーンを利用: 初回限定で大幅な割引を実施しているサービスが多く、味や品質を試すのに最適です。ただし、2回目以降の通常料金も確認しておきましょう。
スキップや解約のしやすさ: 定期購入の場合でも、スキップや解約が簡単にできるかどうかも確認しておくと安心です。
宅配弁当は、コンビニでランチを買うのとさほど変わらない値段で栄養バランスの取れた食事ができるため、便利な選択肢と言えるでしょう。

お弁当の容器が使い捨てか、回収か、を確認してください。
食べ終わった容器の回収方法についても決める必要があります!
・発泡スチロールなどの箱や回収ボックスなどを用意する
・玄関のどこに置くか場所を決める(取りやすく置きやすい高さ)
・風で飛ばされないようにする、カラスに狙われないように対策する
・業者に回収の時間を聞いて、なるべく直前に出す
・できれば回収する曜日に合わせてヘルパーによる訪問介護サービスを組み合わせる などなど
独居の高齢者、もしくは家族が仕事で長期留守の場合は、ご近所トラブルにならないように、ごみの出し方や容器の回収方法までしっかり調整します。

ワシは肉が食べたいんじゃー!

だめよ、おじいちゃん。この前、誤嚥性肺炎で入院したばっかりなのよ!
嚥下機能に特化した宅配サービスの選び方
やわらかさのレベル
噛む力や飲み込む力は人それぞれ異なりますので、ご自身の嚥下レベルに合った食事形態を選びましょう。多くのサービスでは、以下のような段階に分けて提供しています。
ほどよくやわらか・容易にかめる:お箸ですっと切れる、食材の食感を楽しめるやわらかさ。
かなりやわらか・歯ぐきでつぶせる:お箸で簡単にほぐせる、歯ぐきでつぶせるやわらかさ。
ムースやわらか・舌でつぶせる:スプーンでつぶせる、舌でつぶせるくらいのムース状。誤嚥予防に配慮したなめらかな食感です。
ピューレ・噛まずに飲み込める:噛まずに飲み込めるペースト状やピューレ状で、非常に滑らかな食感です。
管理栄養士による監修と相談
多くの嚥下食宅配サービスでは管理栄養士が献立を作成しており、栄養バランスの取れた食事が提供されます。サービスによっては、管理栄養士に直接食事に関する相談ができる場合もありますので、気になる方は確認してみると良いでしょう。
味とメニューの豊富さ
毎日同じような食事だと飽きてしまうため、和洋中とバリエーション豊かなメニューを提供しているサービスを選ぶことをおすすめします。お試しセットを利用して、ご自身の好みに合うか試してみるのも良い方法です。
価格と送料
介護食の宅配サービスの相場は1食あたり600円〜700円程度ですが、サービスやコースによって異なります。定期購入で送料が半額になったり、初回送料無料のお試しセットがあったりする業者も多いです。
保存方法と配送
冷凍タイプが主流で、電子レンジで温めるだけで手軽に食事ができます。冷凍弁当はまとめて届くため、冷凍庫のスペースを確保できると便利です。また、できたての食事を毎日配達してくれる配食サービスもあります。こちらは保存期間が短いため、配達日に食べ切る必要がありますが、安否確認を兼ねて手渡しで届けてくれるサービスもあります。
嚥下機能に特化した宅配サービスを提供している主な業者
やわらかダイニング(ウェルネスダイニング):咀嚼力・嚥下力のレベルに合わせて3種類のコースから選べます。管理栄養士が献立を監修しており、家庭の味を意識した優しい味付けが特徴です。
Dr.つるかめキッチン:高齢者向けのおいしい宅配食を提供しており、メニューのバリエーションも豊富です。
健康直球便:高齢者専門の食事宅配「宅配クック123」が運営しており、医師推奨のサービスです。冷凍弁当でレンジで簡単に調理できます。
食宅便:管理栄養士監修で、主菜1品+副菜4品で栄養バランスにも配慮されています。やわらかい食事コースもあります。
ウェルネスダイニング:制限食宅配で有名ですが、様々なやわらか食も提供しており、味付けや献立の多様性が魅力です。
まごころケア食:管理栄養士監修の冷凍弁当で、糖質制限食や塩分制限食に加えて、やわらか食もあります。
nosh(ナッシュ):糖質に配慮したヘルシーな冷凍弁当サービスで、約100種類のメニューから選べます。
SOMPOケアフーズ「食楽膳」:噛む力、飲み込む力に合わせて、レギュラー、ソフト、ムース、ピューレの4段階から選べる介護食を提供しています。
ワタミの宅食:管理栄養士が献立を設計した日替わりの夕食を届けてくれます。飲み込みやすい形状に配慮した「やわらかおかず」や「ムース食」も提供しています。
口福膳:嚥下障害に配慮した冷凍ペースト弁当を提供しており、高級感のある和食・日本料理が楽しめます。
MFS(メディカルフードサービス):腎臓病向けのたんぱく質調整食や、糖尿病向けのカロリー調整食、減塩食など、制限食に特化しており、やわらか食も提供しています。
これらのサービスは、食事の準備の手間を省き、栄養バランスの取れた美味しい食事を提供することで、嚥下機能が低下している方のQOL向上に貢献しています。
制限食に特化した主な宅配弁当業者
ウェルネスダイニング
糖尿病や高血圧などで食事制限が必要な方に向けた専門の宅配食を提供しています。糖質&カロリー制限食は、1食あたり糖質15g以下で、カロリーや塩分にも配慮されています。管理栄養士が全90種類のメニューを監修しており、栄養相談も可能です。冷凍で届き、定期購入はato休止や配送日の変更もできます。
Dr.つるかめキッチン
高齢者向けのおいしい宅配食を提供しており、レンジで温めるだけで手軽に食事ができます。糖質や塩分、カロリーなどを制限した健康食が中心で、専門医と管理栄養士がメニューを共同開発しています。毎日違うメニューが届くので、飽きずに続けやすいでしょう。
彩食健美
腎臓病食、糖尿病食、塩分制限食、たんぱく制限食など、医師からの指導がある方向けの成分制限食を専門としています。和洋中約140種類の豊富なメニューがあり、全国へ送料無料で宅配しています。
メディカルフードサービス
医療・介護食の専門メーカーが作った食事を提供しており、塩分、カロリー、糖質などを抑えたさまざまな制限食から選べます。厳密な栄養計算がされており、管理栄養士に栄養価について相談することも可能です。バナナでもつぶせるほどのやわらかさのムース食も提供しています。
ニチレイフーズダイレクト
糖質、脂質、塩分に配慮したヘルシーな冷凍宅配食を提供しています。管理栄養士監修のメニューで、成分ごとに選ぶことができます。
その他
nosh(ナッシュ):糖質に配慮したヘルシーな冷凍弁当サービスで、約100種類のメニューから選べます。
まごころケア食:管理栄養士監修の冷凍弁当で、糖質制限食や塩分制限食を提供しています。
RIZAPサポートミール:1食あたり糖質10g前後、たんぱく質18g以上と、栄養バランスに配慮された高たんぱく・低糖質・低カロリーの冷凍弁当を届けてくれます。
これらのサービスは、自炊での栄養管理が難しい方や、忙しくて食事の準備に時間をかけられない方にとって、栄養バランスの取れた食事を続ける上で非常に役立ちます。多くが冷凍弁当なので、保存も簡単で、食べたい時に温めるだけで手軽に食事を摂ることができます。